あらためて果物類を扱う難しさと「選んでいただける」理由を考えてみる
こんにちは。須坂市ふるさと納税担当です!
最近、すっかり投稿をご無沙汰していました。
今回は須坂市の「ふるさと納税との向き合い方」を書いてみたいと思います。
金額や件数にとらわれない須坂市ふるさと納税が大切にしていることがお伝えできればと思いますので、ぜひお読みください。
須坂市の返礼品送付実績の90%以上が「果物類」。人気の裏で職員が悩むのは・・・
① どんなに頑張っても無事にお届けできないケースがある
② 天候などの気象条件によるリスクがある
③ 生育環境による個体差がある
他の自治体でも多分同じ悩みがあるはず。果物類は、肉とか米とか海鮮品とかよりもデリケートで難しい。
ゆえに、これとどう向き合うか、寄附者さんの満足を向上するにはどうするか。そこを須坂市ふるさと納税は「最重要視」してきました。
返礼品は「商品」ではなく「返礼品」。寄附者様に寄附のお礼として喜んでいただくことに尽きます。
ECサイトで「価格競争」や「内容量」の競争はやめよう。そうした発想で一貫して取り組んできたことがリピート率の向上にもつながっています。
そんな中で職員の悩みにフォーカスしながら、須坂市ふるさと納税の取組みを書いてみます。
どんなに頑張っても無事にお届けできないケースがある
「えっ?!」と思われる方もいるかもしれません。
ふるさと納税の寄附者さんの居住エリアで圧倒的に多いのは関東と関西、そして北海道などが続きます。そう、基本的には遠隔地配送。
本当に丁寧に梱包しても輸送経路でトラックに乗ります。ドライバーさんが玄関までお届けします。もちろん丁寧に扱ってもらってはいますが、配送事故は一定割合で避けられない。
⚫︎荷崩れと思われる脱粒…
⚫︎倉庫で保管中の冷凍庫への誤投入による冷凍焼けや変色…
寄附者さんには本当に申し訳ないです。私たちも本当に切ない気持ちで、やるせない気持ちです。
「あぁ‥申し訳ないです‥。」と。
だからこそ、アフターフォローをしっかりと。
こうした配送事故によるものは基本的に100%再送保証しています。
だいたい年間25万件程度発送して300件程度でしょうか。確率にして0.1%程度でしょうか。この確率に該当してしまった寄附者さん、本当にごめんなさい。
でも世の中に確率で生じてしまう事柄があることをご理解いただき、精一杯のフォローをさせていただきますのでどうかご容赦ください。
須坂市は対応の速さもご満足いただいています。
ふるさと納税返礼品のサポートセンターは、多くの自治体の場合、専門の大きな会社が担当しており、複数自治体のコールセンターを兼務しています。
須坂市は専用のコールセンターを有し、丁寧かつスピーディーに対応させていただいていますのでご安心ください。
天候などの気象条件によるリスクがある
果物類を扱う自治体の悩みは何と言ってもこれ。
収穫期前の大雨、台風、凍霜被害、原因不明の生育不良。
本当に生産者はこうした中で苦労に耐えない毎日を過ごしており、私たち職員は頭が上がりません。
でもこうしたリスクをしっかり想定し、リスク分散していけるのも須坂市ふるさと納税の特徴。100を超える事業者(2023年度末現在)がふるさと納税の返礼品事業者として参画しており、いずれかの事業者に何か事故が生じても、他の事業者でカバーできる体制を整えています。
その場合は、該当の寄附者さんに個別で連絡をさせていただき、別事業者からの同等品を発送させていただく調整をスピーディーに行っています。
毎年どこかの自治体で生じる「配送ができなくなった」という問題も過去須坂市では生じていません。
今後とも安心して須坂市をお選びいただけましたら幸いです。
生育環境による個体差がある
実は、一番困っているのはこれ。
寄附者さんからのお問い合わせで多いのが、
✓種なしぶどうに種が混じっていた
✓ぶどうが甘くなかった
✓皮が硬かった
✓表面に汚れがついていた
✓房の中に小さな虫がついていた
大変申し訳ございません。ケースバイケースではありますが、確実な再送保証を承ってはおりません。
ここも含め100%再送を約束できる自治体はないと思います。なぜかというとこうしたことは自然のものゆえ「よくある」ことだからです。
「種なしぶどう」であっても、一部種が混じってしまうことはあり、甘さや硬さ、色合いなども人それぞれの感覚にも左右されるため、寄附者さんへの平等性や均衡性という点からも再送ということがどうしても難しいことをご理解いただけたらと思います。
須坂市のふるさと納税は
これまで須坂市の対応を書いてみましたが、
実際に他の自治体さんがどう対応しているかは分かりません。
① 寄附の御礼で送っているため、基本的にクレームには対応しない。
② 再送経費が捻出できないため再送はしない。
といった自治体さんもあると聞いています。
もちろん、自治体ごとの考えでふるさと納税制度を運用しているので、それは全く問題ないのですが、そもそも「ふるさと納税」って何だったかな?そう考えると寄附者さんからの「寄附」が全て縁のスタートになっています。
返礼品の過熱競争、ECサイト化が顕著だからこそ、
「返礼品」という「おもてなし」をもって応える過程を大切にしたいものです。発送側に責があるものはしっかり誠意をもって対応しなければならないことは当然です。
ある研究団体が調査した中に、
「そもそもふるさと納税にレビューなんて必要ない(おかしい)」
という声がありました。
私たちは全くそう考えていません。むしろ逆だと思います。
寄附者さんからの「寄附」が全て縁のスタートになっていて、「返礼品」という「おもてなし」をもって応える過程が大切と考えるなら、寄附者さんの声は聴きたいと考えるのが私たちの考えです。
いい声も悪い声もしっかり今後にいかし、今日よりも明日、今年よりも来年と…
寄附者さんの中には様々な自治体に寄附をされ、いい想いも、悪い想いもあることでしょう。次は別の自治体に寄附をされる方もいるでしょう。
数年後には「やっぱ、須坂市いいよね!」そんな風に寄附者さんの認識に須坂市があってもらえることを一番願っています。
今や、シャインマスカットも価格(寄附額競争)がすごいです。
須坂市では1kgの寄附額は10,000円~11,000円が平均帯です。
他自治体さんを見ると、1.5kgが10,000円寄附とか1.2kgが9,000円寄附とか…
もちろん自治体の調達努力もあるかもしれませんが、低い寄附額の裏では大抵、事業者に提供金額を我慢してもらうか、ワンランク下の品質のものを提供するかといった状況が生じ、レビュー評価を落としている実態もあるのではないかと思います。
そんな低い金額では残念ながら寄附者さんに満足できる状態のものをお届けできる自信がありません。
もちろん金額が低いものをお探しの方もいますので、須坂市もそうした「訳あり」や「家庭用」といったものをご用意していますが、こちらも一定の基準のもとでお送りしています。
訳ありはあくまで「見た目などは劣るが食べたら美味しい」がコンセプトです。
また、ポータルサイトのイベントに合わせて寄附額を上げたり、下げたり‥。これを頻繁に繰り返すのもどうなのかと。
ランキング1位の実績だけ欲しさに、ほんの一時だけスペシャルな低寄附額で客寄せする‥。これもどうなのかと。
「販売」ではなく「寄附」ですから、寄附者さんの均衡も大事にしなければいけないですね。
また送料コストを下げて品物の容量を増やすために、安易に常温発送をするのも危ないですね。
不在等でお受け取りに2〜3日かかってしまうケースもあり、それでも一人でも多くの寄附者さんに確実にお受け取りいただきたい、須坂市は原則全てクール便発送としています。
せっかく全国多くの自治体の中から寄附先をあえて選んで応援いただくので、返礼品で嫌な思いをすることは避けたいですよね。
安心できる自治体や返礼品の見分け方
果物類をご検討の際、以下を参考に寄附先を選んでいただけたらと思います。
①自治体の対応に関するレビュー(件数や数字など)
→何かあった時のサポートが充実しているかの目安になります。
②返礼品間のレビューのバラつき
→事業者の管理や内部での返礼品基準などがきちんとしているかの目安になります。
③クール便発送か
→不在等で受け取れなかった際のリスクが減ります。秋はまだまだ暑いです。クール便をおすすめします。
④配送トラブルや傷みなどへの自治体の対応はどうか。
→レビューなどで自治体の考え方や対応をある程度把握することができます。生ものは配送リスクが一定数避けられないことを知っていただいた上、それにどう向き合う姿勢があるかを確認いただくと安心です。
応援いただく寄附者さんのおかげで須坂市も多くの自治体から注目をいただくようになっています。須坂市よりも優位な条件で返礼品を掲載される自治体さんも多いことを知っています。
私たちは、様々な自治体さんの視察を受け入れてきましたが、基本的に取り組みの経過や市の作成物(品質改善等に向けた事業者向けの手引きなど)は全て自信をもってお見せしています。
多くの自治体が寄附額を目標にしていますが、須坂市に寄附額の目標はありません。
須坂市を選んでいただき応援いただける方を一人でも増やしたい‥それが一番の目標です。
寄附額はあくまで、こうした取り組みを続けた結果。寄附をしてくれた皆さまとつながる過程、つながった後のフォローやおもてなしを一番大切にしたいと思っています。
変な価格競争に踏み込み、寄附者さんの信頼を損ねてしまうことのないよう、そして「やっぱり須坂市だよね。」と思っていただけるようしっかり信念をもって取り組んでいきます。その取り組みを寄附者さんから評価いただけることが何よりも嬉しいです。
須坂市はそうした中でも「寄附」という制度の前提を忘れることなく、今後も職員一同、誠心誠意取り組んでいきます。
これからも継続した応援をいただけますと幸いです。