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ふるさと納税に関する制度改正ズバリ、何が変わるのか??

※寄附をご検討の皆さんに、今起きていることをリアルにお伝えしたく、拡散は大歓迎です。


みなさんこんにちは。須坂市ふるさと納税担当です。

テレビや新聞でも取り上げられ、SNS上でも話題になっている「ふるさと納税に関する制度改正」について、市の「ふるさと納税担当」視点から書いてみます!

改正内容、今後の展開予想、そして須坂市の対応は??皆さんが気になるところをお伝えします。

今回の制度改正のポイントは?

ふるさと納税は国の定めたルールのもとで、全国の自治体が制度を運用して「ふるさと納税」(寄附金)を受付しています。

残念ながら一部の自治体による不適切な運用事例があり、過去にも制度改正による様々な規制がされてきました。

今回の改正は大まかに以下のとおりです。

<主な改正内容>
加工品のうち熟成肉と精米について、原材料が当該地方団体と同一の都道府県内産であるものに限り、返礼品として認める
(地場産品基準の改正)

募集に要する費用について、ワンストップ特例事務や寄附金受領証の発行などの付随費用も含めて寄附金額の5割以下とする
(募集適正基準の改正)

総務省HP(報道資料)より引用

それぞれ説明をします。

①地場産品基準の改正

こちらは、「まあ、それは確かにそのとおりですね‥。」という印象です。

産地の違う肉や米を自分の自治体に持ってきて「熟成」(倉庫でしばらく寝かして解体する)したり「精米」したりすることが「加工」の定義にあたらないことはまあ当然ですよね。

それが認められるなら、巨大な冷蔵庫を自分の自治体に建設すれば、その自治体は肉などを返礼品として取り扱えることになりますからね。

ちなみに国はふるさと納税返礼品として認める「加工」品の定義を以下のようにとらえています。

「当該地方団体の区域内において返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことにより相応の付加価値が生じているもの」
(告示 第5条第3号)

総務省告示より引用

肉の「熟成」(保管)がこれに当たらないことは、感覚的には分かりますが、国が明確に規制をしていなかったため、自治体の解釈で運用されてきました。

今回の改正で改めて、「熟成」や「精米」という工程が「相応の付加価値が生じているもの」に該当しないことを明示したものといえます。

自治体が運用する際の参考とする「Q&A」にも明示されました。

Q:「ただし、当該工程が食肉の熟成又は玄米の精白である場合には、 当該地方団体が属する都道府県の区域内において生産されたものを原材料とするものに限る」(告示第5条第3号)とあるが、認められない例にはどのようなものがあるのか。
A:例えば、輸入した海外産の牛肉を区域内で熟成させたものや、県外で収穫した玄米を区域内で精白したものを提供することは認められない

ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A

はい。もうはっきりと明示されましたね。

これにより、現在ふるさと納税返礼品で産地が「オーストラリア」「アメリカ」など国外となっている返礼品は10月1日以降に姿を消すはずです。

ふるさと納税担当としては、以前からおかしいなと思う運用ではあったので、健全な制度運営という点からはむしろ歓迎するところです。

でも、海外産の水産物(魚や貝など)を水揚げして、漁港の水産加工会社で処理(解体、冷蔵)されたものは、規制の対象にはなっておらず、肉や米の場合と何がどう違うんだ?海と陸の違いは何?という疑問は残ります。

「加工」の価値が認められるか否かは国がQ&Aで例示しています。

(加工として)認められると考えられる例
・ 区域内の事業者が区域外で生産された原材料を使用し、区域内で加工・品質保守を一元管理し、当該事業者の自社製品として販売しているもの
・ 区域外で生産された豚肉を、区域内で切断・調理・袋詰めしている豚肉加工品
・ 区域外で生産された原材料を用いて、区域内の醸造所において醸造した酒
・ 区域外で生産されたグラス等に、商品価値の主要な部分である伝統的な螺鈿(らでん)細工や漆芸を区域内において区域内事業者が施した工芸品 

(加工として)認められないと考えられる例
・ 海外で生産し、区域内事業者が検品を行っているラジオ
・ 区域外で生産されているが区域内の茶商が監修しているペットボトルのお茶
・ 区域内事業者がパッケージしている区域外で生産されたフルーツ
・ 区域外で生産されたビールに、当該団体オリジナルのシールを貼ったもの
・ 区域外から調達したブロック肉を、区域内で単なる切断・パック詰めした精肉

ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A

ここはかなり総務省の解釈次第ですね。
書いてある内容以外の事例が出た場合は「自治体ごとの解釈運用次第」ということです‥。

何となく歯切れの悪い運用になっているのが「ふるさと納税」制度。自治体担当者の頭を常に悩ませ続けるのです。。

なお、須坂市では国の制度上認められない「肉類」「米類」の取り扱いは現時点でないと考えています。

②募集適正基準の改正

(ⅰ)何が問題になっているのか

大まかに言うと以下のとおりです。

【改正前】
「ふるさと納税の募集に要する経費」を寄附金額の50%以下とする。
  ↓
【改正後】
「ふるさと納税の募集に要する経費」
「募集に付随して生ずる事務に要する費用」
合わせて寄附金額の50%以下とする。

まず、「ふるさと納税の募集に要する経費」とは早い話が、寄附者の皆さんにPRをするための費用になります。

具体的には「ふるさとチョイス」や「楽天ふるさと納税」、「さとふる」といったいわゆる寄附ポータルサイトを利用することで発生する手数料、市が自身でふるさと納税業務運営の全てをできないことから事業者に委託する費用、カタログやパンフレットの作成費用、広告費用などが該当します。

では「募集に付随して生ずる事務に要する費用」とは何でしょうか。
国はQ&Aで以下のように示しています。

寄附金に係る受領証の発行事務に要する費用ワンストップ特例に 係る申請書の受付事務に要する費用(当該事務を電子化するために要する費 用を含む。)、ふるさと納税以外の業務も兼任している職員に係る人件費のうち、ふるさと納税に関する業務に係るものなどが挙げられる。

その他、ふるさと納税の募集を行ったことや寄附金を受領したことにより発生したと考えられる費用は幅広に含めること。

ふるさと納税に係る指定制度の運用についてのQ&A

きっちりと定義されているようで、めちゃくちゃ曖昧な内容です。「など」や「幅広に含める」・・・結局はQ&Aを読んでの自治体ごとの解釈次第なんですね。

「など」には何が含まれるのでしょうか。限定列挙しないと、自治体ごとの解釈運用幅を広げ、真面目な自治体とそうでない自治体の不利益が出てしまいますよね。

これは寄附をいただく寄附者さんにも影響することになります。

「幅広に含める」とはどの程度の幅でしょうか。同じものを見ても「太い・細い」、「大きい・小さい」の感覚が人それぞれ異なるのと同じで、国としては明確に何を含むのか、また含まないのか、きちんと定義するべきだと思っています。

この経費に関連して、新聞報道でも指摘されている内容があります。
「朝日新聞」さんの記事で朝刊1面に取り上げられたこともあり、話題になりました。

具体的には、複数の寄附ポータルサイトが以下のような文章で自治体へ通知をしています。

当ポータルサイトの手数料●%の内訳は以下のとおりです。
 「寄附の募集に要する経費」に含まれるもの→●%
 「寄附の募集に要する経費」に含まれないもの→●%

ある寄附ポータルサイトの通知例

まあ、このように通知があれば後者は経費として含めず報告しますね。もともとの総務省の基準が明示をしていないのですから。

国からすると、「民間企業であるポータルサイトが、勝手に自治体に都合のいい通知を出して、経費を少なく報告させるよう誘導していた。」ということであり、新聞記事はこれを「抜け穴」として指摘したものです。

ポータルサイト側が、「寄附の募集に要する経費」に含まれないものとして通知をし、割合を明示している根拠としては、システムの開発費メンテナンス費、企業内の人件費相当部分のため、自治体が国へ報告する「寄附の募集に要する経費」には当たらないという解釈のようですね。

確かに的を得ているような気がしますが、一方的にポータルサイトが悪いわけでもありません。結局は、国が明確にQ&Aなどで例示しないことが一番の原因で、各々の解釈を許してしまっているのです。

国(総務省)とすれば、手数料の全額計上は改正告示に明確な記載がなく、「必要に応じて周知を図りたい」としているようですが、自治体に対して明確な周知は現時点でありません。

→新聞記事によると、総務省の会見で、自治体が仲介サイト事業者に支払う手数料は全て経費に含めるとの考えが示されたようです。近く全国の自治体に通知を出すことになっているということですが、現時点ではまだありません。

(2023年7月24日追記)
国から「自治体が仲介サイト事業者に支払う手数料は全て経費に含める」旨の正式な通知が発出されました。これで自治体による解釈の差異はなくなりそうですね。

寄附金に係る受領証の発行事務に要する費用ワンストップ特例に 係る申請書の受付事務に要する費用(当該事務を電子化するために要する費 用を含む。)、ふるさと納税以外の業務も兼任している職員に係る人件費のうち、ふるさと納税に関する業務に係るものは報告経費に含むことは明示されています。

これらの経費は業務の中でもそれなりに大きな経費になります。自治体担当者としては10月までの数か月、電卓を片手に、ずっと頭を悩ませるでしょう。。

(ⅱ)寄附者さんへの影響は?

ふるさと納税の募集を行うためには、国の定めるルールを遵守し、今回の「経費50%問題」にもしっかり改善の道筋を立て、実際に経費を50%に収めていかなければなりません。

実際、改正後の基準で返礼品代や、返礼品の送料、ポータルサイトへの手数料等を計上して足し上げると50%を超えてしまう自治体が大半なのではないかと思います。

自治体ごと、様々な経費削減のプランを考えることになりますが、一番数字に反映させやすいのは「返礼品率の引き下げ」です

実際には以下のイメージです。

【現行】
10,000円の寄附で3,000円相当(1kgのフルーツ)を送付(返礼率30%

【改定後】
12,000円の寄附で3,000円相当(1kgのフルーツ)を送付(返礼率25%

寄附金額を上げることで返礼率を下げるイメージ

言葉として適切ではないですが、お得感が下がってしまうということですね。これ以外にも、以下にようなイメージで運用する自治体もあると思います。

【現行】
10,000円の寄附で3,000円相当(1kgのフルーツ)を送付(返礼率30%

【改定後】
10,000円の寄附で2,500円相当(0.7kgのフルーツ)を送付(返礼率25%

返礼品の量を減らし、寄附金額を据え置くイメージ

こちらも寄附金額は据え置いているのですが、送付する返礼品の内容量を減らしているので、実質的にお得感が下がってしまいますね。

こうした運用を10月1日以降に取らざるを得ない自治体が多く、「よく見ると昨年よりも寄附額が上がっていた‥。」、「よく見ると昨年よりも返礼品の内容量が減っていた‥。」という返礼品が増えるのではないかと予想されます。

返礼品を楽しみに応援いただいている寄附者さんにとっては大きな影響となりますね。

さて須坂市の対応は・・・

須坂市を継続して応援いただいている皆さんにとって気になるのは、「須坂市はどうするの?」ということだと思います。

現時点で考えていることは??

これまでに寄附をしていただいた方を大切にしたい。
(追記)
市の特設サイトを使って、これまで寄附いただいた方に限定した企画や返礼品などの展開を実施していきたいです!!どの民間ポータルサイトからの寄附よりも寄附者さんにメリットのある企画を「期間限定」や「数量限定」で実施していきますね!!

なるべく多くの寄附者さんにとって影響を緩和できる方法を考えたい。
(追記)
寄附額の上昇はやむを得ない方向性ですが、できるだけ経費を返礼品率以外の部分で抑えていく努力をし、返礼品への影響を緩和したいと考えています。寄附ポータルサイトによっては、返礼品率が据え置きできるサイトもあるかもしれません。

●寄附ポータルサイトごとの手数料が異なるため、手数料の高いポータルサイトは「差別化」をして検討せざるを得ない。
(他と比較して手数料が高いポータルサイトは「サイト側の努力」がなければ、市としては当該サイトの寄附金額の引き上げ、ポータルサイトの閉鎖や在庫量での調整などを行わざるを得ない。(結果的にポータルサイト側のデメリットになるが、それは仕方がないこと。)
(追記)
具体的なサイト名は出しませんが、手数料が著しく高いポータルサイトがあることも事実。残念ながら、市でもサイトごとの手数料の高低により、同じ返礼品でも寄附額を変えざるを得ないと思っています。状況によっては、今後、一部の返礼品について「昨年度まであったものが今年は無い?!」ということが生じるかもしれません。
そんな時はぜひ須坂市の特設サイトをご利用くださいね。

今後も継続して寄附をいただける「真の」須坂市ファンを大切にしたい
(追記)
最近、ふるさと納税も「コスパ」を重視した返礼品掲載が目立つようになってきました。ただ、返礼品事業者の大切に生産した品物を買いたたくことは必ず品質の低下につながります。多少金額が上昇しても、「間違いないもの」、「一度食べて納得したもの」をもう一度選びたいと思うのは誰しもの心理ではないでしょうか。
「ああ、やっぱり須坂市で間違いなかった」、「須坂市を今後もマークしておきたい」そんな返礼品の提供を通じて、須坂市のファンを一人でも増やしていきたいと思います。

今後も工夫を重ねながら、寄附者さんにご満足いただける運用をしていきたいと思います。

今回の改正をきっかけに、返礼品の質を落として、金額を据え置く自治体なども出てきそうで‥ここは寄附者さんにもしっかり応援し続けていただける自治体を見極めていただくことを願っています。

ふるさと納税担当の頭脳をフル回転させて、寄附先として選んでいただき続ける「須坂市流」の「ふるさと納税」のあり方を考えてていきたいと思います。

既に取り組んでいるものがこちら↓↓

須坂市特設サイトだけの「限定シャインマスカット」

実は須坂市には「須坂市ふるさと納税特設サイト」があり、こちらのサイトは市の直営であるため、ポータルサイトの手数料が一切かかりません。

この分を経費間調整することで、しっかりと寄附者さんに今までと同じ基準で返礼品をお送りさせていただくものです。

今時点でも、シャインマスカット(1.2kg、1.0kg)の2種類を他ポータルサイトよりも低い寄附金額設定で展開していますので、制度改正前もだんぜんおススメの企画展開となっていますよ(^^♪

1.0kgの展開もあります!!

今まで寄附していたポータルサイトで同じものを選ぼうとしたら、寄附額が上がってしまった!!・・・

そんな時はぜひ「須坂市特設サイト」の門をたたいてみてください。会員登録も随時受け付けています!様々な企画や情報発信をしていきますので、今のうちにご登録をお願いします。

「須坂市ふるさと納税特設サイト」についてはこちらの記事もぜひお読みいただけると幸いです。

国の制度改正に思うこと

今回の制度改正。自治体担当者からはマイナスな声も多く出ています。
自治体はご存知のとおり「年度」(4月~3月)で動いていますので、10月での改定は予算影響などの面からもあまり好ましくないのです。

また、改正への対応で短期間に様々な対応に迫られます。返礼品提供事業者との価格調整やポータルサイトの表示内容を保守するなどが主な作業になりますね。

ただ、国がこうした形で改正を求めてくる背景に、制度を適正に運用し、公正公平な地域間競争(地域の切磋琢磨や地域の工夫)を促し、地域のあり方を考えさせるきっかけにしたいということなのでしょう。

もともと国は地域間競争を制度当初から予定しているのです。以下リンクにも「競争」と明確に記載されていますよね。

競争自体がいけないとする風潮や、税の偏り(流入・流出)の問題などは一程度あるのでしょうけれども、担当個人の考えでは、ふるさと納税は諸々を含めた自治体の「工夫による競争」ですよね

移住も観光も同じですよね。枠(ルール)の決まった容器の中で、しっかりルールを守りながら、工夫を凝らして自分の住む自治体をPRし、盛り上げる。この趣旨を健全かつ公平に制度の中で実現をしていくのです。

今後も制度を歪めかねない運用をする自治体もあるかもしれません。でもそれは必ず淘汰されます。須坂市は正々堂々と正しく制度を運用していきますのでご安心くださいね。

今回の制度改正という大きな「壁」も須坂市は必ず乗り越えていきます。そんな姿に共感いただき、全国に一人でも多くのファンを作れるよう、担当は日々もがきながら工夫を見出してまいりたいと思います。

大変長い記事になりましたが、寄附者さんの知りたいポイントをお伝えさせていただきました。
ぜひ「スキ」やSNSでのシェア拡散等をいただき、多くの方に「ふるさと納税制度」の現状を知っていただけると嬉しいです。

須坂市が「初めまして」の方は、ぜひこちらの記事もお読みくださいね(^^♪
もうすぐシャインマスカットやナガノパープル、桃が本格的なシーズンに入ります。先行ご寄附も受付中です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました!!今後とも須坂市をよろしくお願いします。


みんなにも読んでほしいですか?

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須坂市ふるさと納税へのご関心をいただきありがとうございます!!皆様の応援が大きな力になります。今後も須坂市への応援をよろしくお願いします。よろしければ須坂市ふるさと納税特設サイトへの会員登録をお願いします(^^♪